十二月八日

だんだん卒業の日は近づく。もうあと三月あるかなし。山中ともさらばじゃ。

あゝ、山中。オレの山中に於ける生活は、おもしろいものであった。幸福だった。生活であった。おもしろかった。長かった。

小林察編『定本 竹内浩三全集』p.103 二謹慎日記(抄)より

  (以下は始めに書かれた注釈)

昭和十三年四月、竹内浩三は、旧制中学最後の学年を柔道教師佐藤純良氏宅に身柄預かりとなり、その家から通学したが、その処分の直接の理由は不明である。この日記の四月六日までのページが、竹内自身によって破棄されたことは、八月四日の日記によって明らかである。(編者)