五月のように

なんのために
ともかく 生きている
ともかく

どう生きるべきか
それは どえらい問題だ
それを一生考え 考えぬいてもはじまらん
考えれば 考えるほど理屈が多くなりこまる

こまる前に 次のことばを知ると得(とく)だ
歓喜して生きよ ヴィヴェ・ジョアイユウ
理屈を言う前に ヴィヴェ・ジョアイユウ
信ずることは めでたい
真をしりたければ信ぜよ
そこに真はいつでもある

弱い人よ
ボクも人一倍弱い
信を忘れ
そしてかなしくなる

信を忘れると
自分が空中にうき上って
きわめてかなしい
信じよう
わけなしに信じよう
わるいことをすると
自分が一番かなしくなる
だから
誰でもいいことをしたがっている
でも 弱いので
ああ 弱いので
ついつい わるいことをしてしまう
すると たまらない
まったくたまらない

自分がかわいそうになって
えんえんと泣いてみるが
それもうそのような気がして
あゝ 神さん
ひとを信じよう
ひとを愛しよう
そしていいことをうんとしよう

青空のように
五月のように
みんなが
みんなで
愉快に生きよう

       ボクの二〇回目の誕生日の日、これをボクのために
       そして、ボクのいい友だちのためにつくる
 

(注 ヴィヴェ・ジョアイユウ・・・・Vivez Joyeux 仏語。歓喜して生きよ、の意)
※この注はよしだみどり編『竹内浩三集』より参照